冬真君の告白(されていた)現場を目撃してから、私はなにかと冬真君のことを避けてしまっていた。
「日葵、帰んぞ。」
「あっ、えっとー...
ゴメン!私、きょう由夏と帰る約束しちゃって...」
私のついた嘘に、少し不機嫌そうな顔をする冬真君。
「...勝手にしろ。」
そういって冬真君は、教室から出ていってしまった。
(あれ見ちゃってから、ちょっと話しづらいんだよな~...)
自分でついた嘘に落ち込みながら、私も教室を出た。
「あ~あ、見なきゃよかった!」
そう一人でつぶやきながら、歩道の上に転がっていた小石を蹴飛ばした。
パチンッ
私の蹴飛ばした小石が向かった先は、ガードレールによりかかった、男子生徒のローファーだった。
「あっ!
ご、ごめんなさい!!」
私は慌てて『気をつけ』をして、男子生徒に深々と頭を下げる。
「...やっぱり、嘘か。」
「...えっ?」
馴染みのある声の響きに、私はハッと顔を上げた。
「と、冬真君?!」