その時、教室に冬真君が戻ってきた。




「由夏、この事は絶対にシーッだよ!!」



「うんっ、シーッね!」




冬真君が席につくと、由夏は私にニコッと笑って、さっさと自分の席に戻った。




「別に、気ィ使わなくてもいいんだけど...」



「う、ううん。別にいいの。」




なにかを真剣にノートに書き込む冬真君の横顔を、私はじーっと見つめる。

私の頭の中に、さっきの由夏の言葉が繰り返される。




(「『冬真君が実は、チョーチャラ男だった!』みたいなさ!!」)




「う~ん...」




(この顔に、金髪で耳にピアスでしょ~。

後、じゃらじゃらアクセサリーつけたりもして...)




なにかを書いていた冬真君が、ピタッと手を止める。




「あのさ...

そんなに見つめられると、落ち着かねぇんだけど。」



「ご、ごめん!」



(ない、ない!

こんな人が、チャラ男なわけない!!)




そう思いながら、私は一人、小さく頭を振った。