「えっ、なになに?!」




私は興味津々に身を乗り出す。




「私、こういうのマンガで読んだことある!!」



「...え?」




目をキラキラと輝かせる由夏に、オタクの神が降臨する。




「主人公のイケメン男子が学園一のチャラ男でメチャクチャもてるんだけど、そんな彼がいきなり現れた地味~な女の子に恋しちゃう話でね!」



「はい、はい...」



「その主人公の男の子が、女子に告白された時に言った言葉が、

『ゴメン。俺、彼女とか作れないんだ。

だって...学園中のレディーがみんな、俺の彼女なんだも~ん!』

って!!」




そのキャラに似せたつもりなのか、ちょいちょいモノマネ入りで話す由夏。




「た、たしかにセリフは似てるかもしれないけど...」



「ありえない?!

『冬真君が実は、チョーチャラ男だった!』みたいなさ!!」



「はぁ~...」




そんな由夏の妄想に、私は呆れてしまう。




「なんでよぉ~、そうかもしんないじゃん!!」



「ないよ-、それは~。」




そういいながら、私は手をナイナイと振る。




「そんなぁ~...」




そんな私に、ションボリと肩を落とす由夏。