「う~ん...

今まで聞いた話だと、日葵が悩んでる理由が分かんないんだけど。」




私の話を長々と聞いていた由夏は、口をへの字にする。




「だって、日葵が告白現場を見たからっていっても、

冬真君はその子の事、フってるわけだしぃ。」



「そ、そうなんだけど...」



「じゃあ、なんで?」




私はキョロキョロとあたりを見渡し、冬真君の姿がないのを確認してから、少し小声で話す。




「冬真君が、その女の子フった時の言葉がね、ど~も気になっちゃってさー...」




フムフムときいていた由夏も、あぁ~と思いだした様子だった。




「あぁ~、あれねぇ。」




首を傾げた由夏は、また口をへの字にして考える。




「確かに、フツーだったら

『俺、好きな人がいるんで。』とか、

フツーに『ごめん。』でもいいのに...」




私の頭に、冬真君の言葉がよみがえる。




(『それって、君が俺の彼女になるってことだよね?』


『じゃあ、...ゴメン。

俺、彼女とか作れないんだ。』)




しばらく考え込んでいた由夏が、パッと何かひらめいたように、人差し指を立てた。




「あっ、わかった!!」