外へ足を踏み出そうとしたその時、
「あっ、あの!」
(ん?女の子の声...)
私はサッと身を隠し、壁の陰から恐るおそる覗いてみる。
私に背を向けている男子生徒の向かい側で、顔を赤くしてモジモジとする女子生徒。
(そういえばここ、告白スポットだって由夏が言ってたっけ...)
告白の邪魔にならぬよう、私が体育館の反対側の出口へ向かおうとした、
その時、
「私、前から、冬真君の事が好きだったんですっ。」
(えっ...
とう、ま...?!)
女子生徒が口にした名前に、私の体がピタッと止まった。
サササッと元の位置に戻った私は、もう一度そ~っと陰から覗く。
(『とうま』って、あの冬真?!
まさか...)
私は、私に背を向けている男子生徒をまじまじと見つめ直す。
モデルのような高身長に、焦げ茶色のサラサラの髪。
その時、困ったように髪をワシャワシャした彼が少しうつむいて、チラッと見えた横顔。
(と、と、冬真君じゃんっ!!)
思いもしなかった冬真君の姿に、私の心臓が激しく鳴りはじめる。
(モテるっていうのは知ってたけど...
まさか、ナマの告白現場目撃だとはっ!!)
そんな私の存在に気づきもしない女子生徒は、告白の締めをはなった。
「だ、だから...
私と付き合ってくださいっ!!」