――― コン、コン。
「失礼しまーす。
杉田先生、いらっしゃいますか?」
私のその質問に、パソコンの手を止めた女の先生が顔を上げた。
「あら、杉田先生ならバレー部の様子見てくるって、さっき体育館行ったわよ。」
(ガッガーン!!すれ違い...)
「そうなんですか。ありがとうございます。
失礼しましたー。」
私は職員室のドアをそっと閉める。
「...なんて不運なんだろ、私。」
そうぼやきながら、スタスタと体育館へ向かう。
体育館に到着すると、バレー部のコーチをしている杉田先生がいた。
「おいっ、そこ!
もっと、強く打てっ!!」
「あの~、お忙しいところすみません。
杉田先生、これ澤田先生からです。」
「おう、ありがとさん。
やっときたか~...まったく。
君も、気をつけて帰りなさい。」
呆れたようにプリントを見つめた杉田先生は、お礼を言うと、また熱心に生徒たちのコーチを続けた。
(ウチの担任も、あれぐらいしっかりしてたらなぁ~。)
そう思いながら、私は邪魔にならぬよう、人気の少ない体育館裏から出ようとした。