お母さんに怪しまれぬよう、冬真君が先に家に入り、しばらくしてから私が入る。
朝は、早起きした冬真君が家の前で待ち伏せをして、あとから私が出て行き、一緒に登校。
そんな日常にも慣れ始めて迎えた、夏の始めごろ。
――― 私は...見てしまった。
「はぁ~。」
「どうしたの、日葵?」
大きなため息とともに顔を机に伏せる私を、心配そうに覗き込む由夏。
「最近、元気ないね。
なんかあった?」
「う~ん...
チョットね~。」
由夏は私の前の席のイスを引き、私の方に向けて座る。
「日葵が悩みごとか。
どれどれ、私に聞かせておくれ。」
「それが...
『恋』、のお悩みでして...」
「ほうほう!」
『恋』というキーワードに、コイバナ大好き星人由夏が目をキラキラと輝かせる。
「見ちゃったん...だよね...」
「なにを、なにを?!」
「その...」
それから私は、昨日の出来事の一連を、由夏に語り始めた。