「ちょっ、冬真君!待って!!」
ズカズカと前へ歩いていく冬真君は、ただ黙ったまま私の手を引いていく。
(手、痛い...)
「冬真君、手...」
私のその言葉に、ハッと我に返った冬真君は、立ちどまって振り返った。
「わ、悪い。
痛かったか?」
申し訳なさそうに手の力を緩めた冬真君は、どこか寂しそうな表情をしていた。
「ううん、大丈夫。
それより、どうしちゃったの?」
冬真君のそんな表情に、私は少し不安になる。
(そんな顔、しないで...)
その気持ちを冬真君に伝えたくて、私は両手で彼の手をそっと包み込んだ。
「っ!///
...日葵?」
「私なんかじゃ、役に立たないかもしれない。
でも私、冬真君のすべてを知りたい!」
「日葵...」
私は溢れ出す自分の気持ちを抑えきれず、まっすぐに冬真君へぶつけた。
そんな私に、冬真君はフッと優しく笑いかける。
「お前、気にしすぎ。
なんでもねぇよ。ほら、帰るぞ。」
「う、うん...」
そういって私の手を優しく引く冬真君の背中を、私は少し寂しい気持ちで見つめたのだった。