(ちょ、ちょー!!
なんか勘違いしちゃってません?!)
「だ、だから、ちがっ...」
「ほら、日葵。帰るぞ。」
そういって私の左手を引く冬真君を、私の右手を掴んだ剛が逃がさなかった。
「剛...」
「なにしてんだよ、お前。
もう本当の事わかったんだろ、俺と日葵の事。
手ェはなせよ。」
そういって剛を睨む冬真君を、うつむいていた剛はフッと笑って顔を上げ、睨み返す。
「お前さ。
俺が日葵の事、何年見てきたと思ってんの?」
余裕な表情を表す剛に、さらに眉間にしわを寄せる冬真君。
「こんなに付き合いが長けりゃ、日葵がどんなヤツかぐらい、わかってんだよ。
日葵は、お前みたいな奴と簡単に付き合うような女じゃない。」
見たことがない剛の真剣な表情に、さすがの私も黙り込んでしまう。
そんな剛にも負けないほどの目つきで、冬真君が剛を睨む。
「よく知ってんな、お前。
だからって、なんだよ。
俺に勝てるとでも思ってんの?」
「お前に勝てるかなんて知らねぇ。
でも、俺はあきらめねぇから。」
(勝つ?勝負??
えっ...なに?)
バチバチと火花が飛び散る二人の間で、話についていけない私だけが混乱していた。
「あの~、お二人さん?
私、ちょっと意味が...」
「行くぞ、日葵。」
「えっ、いや、ちょっ...」
冬真君に強引に手を引かれた私は、剛を一人残したまま、学校から出た。