私が席につくと同時に、担任の澤田先生が教室に入ってきた。
「こら~、お前ら席つけ~。」
相変わらず、やる気のなさそうな教師だ。
みんなが、のろのろと席につく。
「んじゃ、紹介すっぞー。今日から、お前らのクラスメイトになる小田桐君だ。
小田桐、入って。」
「ハイ。失礼します。」
――― トクン。
教室に、風が吹き抜ける。
そこに現れた彼は、私の胸を、大きく鳴らし、一瞬、止めた。
風になびいた焦げ茶色の髪が、彼の笑顔をより一層、輝かせた。
「はじめまして。小田桐冬真です。これから、よろしくお願いします。」