「うん!」
そんな日葵をおいて、俺はおじさんの車に乗ってしまった。
窓の外を眺めても、さっきの日葵の笑顔が、目に浮かんで離れなかった。
(アイツ、あんな顔しやがって...
ほっておけねぇだろーが。)
佐藤さんの家の前では、タカシ君のお母さんがエプロン姿で待っていた。
俺を送ってくれたおじさんの車が、見えなくなるまで手を振る。
「じゃあ、家の中に入りましょっか。」
そういったタカシ君のお母さんが、俺の背中に手を添える。
でも、俺は動かなかった。
「ん?どうしたの、レオ君?」
「...ごめんね、おばさん。
ぼく、帰らなきゃ。」
「えっ?どうし...」
そう聞きかけたおばさんを、俺はまっすぐに見つめた。
「ほっておけない人がいるんだ。
おじさんには、ぼくが言うから。ありがとう。」
そういった俺は、気がついたらもう、走り出していた。