――― 出発の日。
お泊りの荷物をまとめ、リュックを背負って1階へ降りる。
ちょうど、日葵が帰ったところだった。
「えっ?
レオ君も一緒なんですか?」
おじさんにそう聞く日葵に、俺がレオらしく笑って答える。
「ううん。
ぼくはね、タカシ君ちにお泊りするんだー!」
俺がそういうと、日葵は完全に落ち込んだ様子だった。
(相変わらず、分かりやすいヤツだな。)
それでも日葵は、無理に作った笑顔で俺に笑いかける。
「よ、よかったね~、レオ君。
楽しんできなよー。」
(無理しやがって...)
そう思っても、今の姿の俺にはどうにもできない。
ただひたすら、日葵の思う「レオ君」になりきることしかできなかった。