「レオ君、だよね?」
そんな俺の目の前に立ち止まった50歳ぐらいの男性は、しゃがみ込んで俺の顔を覗く。
「...篠原さん、ですか?」
「ごめんな、ちょっと遅れちゃって。
はじめまして、レオ君。篠原です、よろしくね。」
「はじめまして、レオナルド・マチェートです。
これからしばらく、よろしくお願いします。」
「しっかりしてるね。いや、そりゃ17歳だからな...。
バック、おじさんが持ってあげるよ。」
「ありがとうございます、篠原おじさん。」
「ただの「おじさん」でいいよ。」
そういったおじさんは、俺のバックを軽々と持ち上げた。
――― 「レオ、あなたはシノハラさんに会いに行きなさい。」
そう、イギリスのばあちゃんに言われたのが始まりだった。
この、「篠原さん」というおじさんは、俺の父さんの古き良き友達らしい。
それで今、「この人なら、俺のこと治せるかもしれない。」ってことで、俺は日本にいる。
「ここが家だよ。」
あれこれ考えているうちに、一軒の家の前で立っていた。
インターホンを押したおじさんが、何か思い出したように振り返った。
「そうだ!
レオ君、うちには...」
おじさんが何か言いかけた時、家のドアが開いた。