カーテンの隙間から漏れる日差しが、私の瞼を照らした。




「ぅうん、朝...」




うっすらと瞼を開いた私の目に、黒い影がかぶさる。




「うぅ~ん、なにぃ...?」




黒い影を押し出した私の手に、温かな感触。




(...ん?)




不思議な手の感触に、私は重たい瞼を開く。




(...む、ね?

む、むむっ、胸板??)




驚きのあまり身動きがとれないままの私は、おそるおそる彼を見上げる。


見覚えのある焦げ茶色の髪に隠れた、彼の顔。




(これって...)




そっと髪に触れようとした瞬間、静かに眠っていた彼が動き出した。




「...んっ、朝っ...か?」




目をつぶったまま小さくあくびをした彼は、彼の顔を隠していたサラサラの髪をかきあげた。




 ――― ドキッ




自分の目にハッキリと映った彼の顔に、私は心臓が止まりそうになる。




「おだぎり、くん...?


お、おお、小田桐君?!」




(な、な、なんで小田桐君が~?!)





私の驚きの声に、「チッ」と舌打ちをした小田桐君は、迷惑そうに目を開く。




「るせぇ、だれだよ...」




自分の腕の中にいる私の姿を見た小田桐君は、私と同じぐらい目を丸くする。




「...やっべ、バレた。」




小田桐君のその一言を合図に、私は今まで出したことのない声で、悲鳴をあげた。