ブツブツと何かつぶやく私を見た小田桐君が、ふっと柔らかな笑顔で微笑んだ。




「ありがとう。

俺の事、好きでいてくれて。」



「っ。///」




その嬉しそうな優しい笑顔と、爽やかでありながらも甘い彼の声に、私はつい黙ってしまった。




(そんな笑顔で言われたら、もう何も怒れなくなるじゃん。)




恥ずかしくなった私は、つい、うつむいてしまう。

赤くなった私を、小田桐君がパッと明るい笑顔で覗き込む。




「でさ、

今のは告白、ってことなの?」



「ち、ちがいますからっ///」



「ふふっ。

やっぱ、かわい。」



そういった小田桐君は、赤くなった私のほっぺたをツンっと指でさした。




「な、なにする...」



「あっ、もうこんな時間だ。

日葵ちゃん、遅刻するよ!」




そういった小田桐君は、私の手をとって走り出した。




「えっ、ちょ...」




胸の鼓動が、よけいにうるさくなる。




(やっぱり、手、大きいな。)




少し強引に握られた手にドキドキしながらも、なんだか嬉しくなっていた。


風になびくこげ茶色の髪から、シャンプーの香りがする。




(このにおい、私のに似てる。)




小さな発見にもうれしくなって、私はふっと笑った。




(青春、してるのかな。)




私は、小田桐君に握られた手に、少しだけギュッと力を込めた。