「じゃあ...失礼します。」




私はそう一言いって、お弁当を食べようとした。



...のだが。




(食べられない...。

隣にお腹を空かせてる人がいるのに、自分だけバクバク食べられるわけがない!!)




私は恐る、恐る、小田桐君を横目で見る。

さっきと変わらず、目をつぶったままだ。




(やっぱり、言わなきゃいけないのか...)




「...小田桐君、

昨日のおかずの残りだけど、私のでよかったら食べる?」



(言ってしまった...。)




すると、小田桐君は右目だけを開き、私を見てニヤッと笑った。




「やっと言ってくれた。

いいよ。俺が食べたら、日葵ちゃん、おなかいっぱいにならないでしょ?

それよりさ...」




そういって、小田桐君は私のお弁当バックを覗き込む。




「それ、なに?」



「あぁ、これ?

これ、昨日私が作ったゼリー!

でもこれ、みかんじゃなくて...」



「それ、俺に頂戴!!」




小田桐君が、目をキラキラと輝かせる。




(それをやられたら...)




「うん、いいよ!」




私はゼリーを小田桐君に渡す。