(今日は、いろいろ大変だったなー...)
そう思いながら、中庭のベンチに座り、昼食のお弁当箱を開ける。
今朝の小田桐君と私を見た由夏は、すっごく嬉しそうにニコニコしていたが、剛はなぜかすごく不機嫌そうだった。
(そりゃあ、ちゃんと挨拶する暇もなかったからなー。)
小さくため息をつきながら、はしケースからはしを取り出し、構える。
――― で。
(なんで、この人は、私に付きまとってるんじゃぁぁぁあ!!!)
私の左隣に座る小田桐君を、呆れた顔で見つめる。
相変わらず目をつぶったまま、気持ちよさそうに風を受けている。
「あの~、お昼ご飯は?」
「うん?
あぁ、俺、買ってくんの忘れた。」
「おなか、すかないの?」
「めちゃくちゃすいてる。」
「じゃあ、あの子達の、もらっといたら?」
そういって私は、お弁当を持ちながら木陰でこそこそとこちらの様子をうかがっている、数人の女子生徒を指さす。
「ううん、いらない。」
彼女たちを横目でちらっと見た小田桐君は、興味がなさそうにまた目をつぶった。