――― あれから、1ヶ月。
来月、私は高校を卒業する。
最後の思い出にと、冬真君が好きだったあのゼリーを作った。
そのゼリーを箱に詰めて、あの公園の、あのベンチにまた座ってみたりして。
今日、2月14日はバレンタインデー。
私は来るはずのない相手と、待ち合わせをしている。
「卒業前の、最後の思い出だからっ...いいよねっ...」
もう絶対に流さないと決めた涙も、今日がもう最後ならばと、特別に自分を許してあげた。
そんな私を慰めるかのように、ひらひらと急に降り出した雪。
涙でにじむ雪を見ながら、私はあの話を思い出した。