「うん。ありがとう。」




しばらくの沈黙のあと、剛が先に口を開いた。




「...俺たち、せっかく幼なじみなんだからさ。

もう、こういう感じとか...やめねぇ?」



「...うん。

ずっと、そういってくれるの待ってた。」




私と剛は、久しぶりに前と変わらない笑顔で笑いあえた。




「オーイ、ごぉ~!!

早くボール、もってこーいよー!!」



「ヤッベ、忘れてた。

じゃあな、日葵。またあと...」





 ――― バッシャーン





「...え。」




目の前で、目を丸くして固まっている剛。


謎の一瞬で、私の体は頭のテッペンから、ずぶ濡れになっていた。




そして聞こえた、クスクスと笑う女の声。


声をたどって上を見上げると、二階の渡り廊下の窓からバケツをもった、彼女の姿が。




「クレア...ちゃん...?」



「フッ。

きったな~い。」



(...なん、で?)