鋭い目つきで向かってくる冬真君に、殴られると思ったチャラ男は、両腕を上げて顔をガードするように覆った。
「さっきの、訂正してやる。
『俺』をコイツが奪ったんじゃねぇ。
『コイツ』を俺が奪ったんだ。」
「...えっ?
あっ、ハイ...」
それだけいい終えた冬真君は、私を連れてスタスタと教室へと向かう。
「ちょっ、冬真君っ。
さっきのは...」
「別に俺、本当のこと言っただけだけど。」
冬真君は、私が言われた悪口に怒ってくれた。
『彼氏に守られている。』
そんな気になるのはきっと、恋にうぬぼれているのかもしれない。
(なんだか、嬉しいな...)
「冬真君。」
「なんだよ。」
「...ありがとう。」
「っ////
...別に。」
(...首、赤くなってる。///)
冬真君の首の後ろが赤くなるのを見た私も、なんだか赤くなってしまった。