目の前の鈍い音とともに、チャラ男が地面に倒れていった。
彼の頬には、冬真君の右腕がはなった拳の痕が。
(冬真君が...)
「殴った....。」
いきなり起こった出来事に、周りもザワザワと騒ぎだす。
「いってぇ...」
急な衝撃を顔に撃ち込まれた彼は、やっとの思いで体を起こし、頬をさすっている。
「ったく、いきなりなにすんだ...」
「冗談も大概にしろよ。
今のはただの警告だから。
テメェのちっせぇ脳みそに、しっかりぶち込んどけ。」
そういいはなった冬真君の眼には、光ひと筋ない。
「えっ...」
見たことのない冬真君の激変ぶりに、チャラ男は開いた口が塞がらないでいる。
「行くぞ、日葵。」
「えっ? あっ...」
冬真君に手をとられ、私は引かれるがままに歩き出す。
「あ。
忘れるとこだった。」
そういった冬真君は、今来た道を引き返し、チャラ男のもとへと向かう。
「えっ? なに?!
またっ...」