あまり眠れないまま、私は次の朝を迎えた。


目の下にできた真っ黒なクマで、冬真君にはバレバレだった。




「だから、あんまり悩みこむなっつったろ。」



「ごめん...。」



「まったく、おまえってやつは。」




呆れる冬真君に叱られながら登校した、いつも通りの朝。


だが、今日の学校はひと味違った。


校門を通ってから感じる、異常な数の視線。

かすかに聞こえてくるのは、嫌な感じのヒソヒソ声。




「これが噂の...」



「やっぱり、あの話って...」




私の感じた異変に、隣で歩く冬真君も気づく。




「なに見てんだよ、アイツら。」



「うん。

なんか、変だよね...」



(いやな予感がする...)



「おっ!

いたいた~っ!!」




そういって走ってきたのは、学校一チャラチャラした男子生徒。




「なぁ、なぁ!!」




ニヤニヤと妙な笑顔を浮かべたまま、彼は冬真君に話しかける。




「なに?」




冬真君は、いつも通りの爽やかな笑顔で対応する。