「それで、クレアが5歳のときに病死。


ここからは、俺が大きくなってから、ばあちゃんに聞いた話なんだけど。


母さんが病院にお見舞いに行った時、ベットに寝たっきりのクレアの親父さんがさ、



『もう自分は長くないが、唯一の心配はクレアの将来なんだ。

クレアを一生守ってくれる人がいれば、僕も安心してこの世を去ることができる。


人生最後のわがままだ。クレアの一生を君の息子に預けたい。』



って、泣きながらお願いされたんだって。」



「だから、クレアちゃんが冬真君の『許嫁』に...」



「あぁ。」



(そうだよね...

そんな時に、冬真君のお母さんも断れないよね。)




すべてを聞かされた私は、なんだかクレアちゃんに悪いことをしたような気にもなってきた。




「だから、クレアは別に俺のこと好きじゃねぇんだ。

むしろ...」




そのあとの言葉は、レオ君が言わなくても、今日のクレアちゃん表情を見れば伝わってきた。




(嫌われてる感じ...)