(好きじゃ...ない?)




私の疑問を紐解くように、レオ君は続けた。




「アイツの親父さんは、俺の母さんの『元婚約者』なんだ。

どうやらクレアの親父さんは、母さんのことが本気で好きだったらしい。」



「でも、レオ君のお母さんは、たしかレオ君のお父さんと駆け落ちしたって...」



「あぁ。

それでクレアの親父さん、相当ショックを受けたんだと。」



「そうなんだ...。

でもその話、クレアちゃんには何も関係のないことじゃないの?」



「そうだったらよかったんだけどな...」




そういった冬真君は、まるで心から漏れたような重たいため息をついた。




「その後クレアの親父さんは、好きでもない人と無理やり結婚させられて。

その奥さんとの間に、クレアが生まれた。」



「そんな...」



「それでもクレアの親父さんは、俺の母さんの事が忘れられなかったっぽくてさ。

どれだけ時が過ぎても愛されることのなかったクレアの母さんは、ある日とうとう耐えられなくなってさ。

まだ3歳のクレアを残して出てっちまったんだよ。」