ご飯が、のどを通らない。
クレアちゃんのあの一言が、脳の中で何度も繰り返される。
(『...秘密、バレたらどうすんの?』)
「...日葵?
日葵!」
「あっ、はい!」
お母さんの声で、私は我に返った。
「なに、具合でも悪いの?
そんなぼーっとして。行儀が悪いわよ。」
「す、すいません...。」
(でも...)
クレアちゃんのいう『秘密』というのは、きっと『ゲット・ビッガー』のことだろう。
バレたらどうなるかなんて想像もつかないが、きっと大変なことになるのは確かだ。
しかも、その害を受けるのは、冬真君の家族や親族だ。
(冬真君のお母さんが、もうあんな目にあってるのに...
私と付き合ってるせいで、冬真君が責められるなんて、絶対いやだな。)
クレアちゃん本人を説得すればいい話だが、クレアちゃんが簡単に納得するような人にも思えない。
「う~ん...」
部屋の天井を見つめながら、私がベットの上で悩んでいると、トントンとドアをたたく音がした。