「っ...」



「付き合ってんだよ。」



(えっ...)



「冬真くん...。」




そういった冬真君は、抱きついている彼女の腕を振りほどく。

冬真君はそのまま歩いてきて私の隣に立つと、私の肩に手をおいて、グイッと私を自分のほうへ寄せた。




「悪いけど、これ俺の彼女。

だから、もう俺につきまとうな。」



(冬真君...!!)




冬真君にそういわれ、表情を曇らせてうつむくクレアちゃん。

だが、すぐにフッと鼻で笑って、顔を上げた。




「はぁ? だからなに?

私はアンタの許嫁なんだけど。


それに...」




クレアちゃんは、鋭い目つきでキッと冬真君を睨んだ。




「...秘密、バレたらどうすんの?」




そういって笑ったクレアちゃんは、私が最初に見たときとはまるで別人のように、恐ろしかった。




「...行くぞ、日葵。」




冬真君はそれ以上なにも言わずに、私の手を引いて歩き出した。




「『ひまり』、ねぇ~...」




そうクレアちゃんが、つぶやいたのも知らずに。