そうは思っていたものの...


実際に冬真君が目の前にいると、なかなか言い出せなくなってしまうのが私で。


そうこうしているうちに時は過ぎて、いつの間にか放課後になっていた。




(一日ってこんな早かったっけ...)




いつも通りのはずの二人の帰り道も、今日はなんだかギクシャクしている。




(...というか、ギクシャクしてんのは私だぁ~!!)



「おい。」



「うぇっ、えっ?」




妙にマヌケな声を出した私に、冬真君が怪訝そうな表情をする。




「なんだよ、その反応は。」



「えっ、えっと~。

べ、別になにも...」




私のその答えを、完全に怪しいと思ったのだろう。


急に立ち止まった冬真くんにつられ、私も立ち止まると、冬真君の大きな手が私の頭をガッとつかんだ。




「んぐっ!!」



「おまえ、俺に言いたいことあんだろ。」



「えっ?!

べ、べつに言いたいことなんて...」



「言え。」




冬真君は私の頭をガッチリ固定したまま、まるで私を透視でもするかのような眼して見つめてくる。




(うっ、ウギャーーー!!!

もう、逃げらんないよぉ~!!)