教室についた私は、目の前の光景に心臓が止まりかけた。
「えっ?なんで?!」
(な、な、なんで?!
なんで、小田桐冬真が私の隣に―?!)
内心驚きながらも、恐る恐る自分の席に近づき、そっと席につく。
心臓のドキドキとともに、頭の中が大混乱で爆発しそうだ。
(昨日はあんなに離れた距離で、目があっただけでもドキドキが止まらなかったのに...
こんな近距離にいられると~!!)
なるべく話しかけられないよう、私は見えない壁を作り出す。
そんな私の壁は、あっけなく彼に壊されてしまった。
「篠原さん、だよね?
俺、小田桐冬真っていいます。
昨日はちゃんと挨拶できなくて、ごめんね。」
「そ、そ、そんな!!
小田桐さんが謝るほどの事では!!」
(ギャー!私、キャラ崩壊!!
落ち着け~、落ち着け~...)
そんな私の様子がツボにはまったのか、彼はおなかを抱えて大爆笑する。
「ハハハ! 小田桐さんだなんて!!
笑っちゃって、ごめんね!
でも俺、急にオヤジになった気分だわ!!
同級生なんだから、冬真でいいよ。」
「そんな呼び方できません!」
「なんで?」