私の初恋も一段落し、恋の花満開だった夏は過ぎ。
日本の季節もいよいよ『秋』といったところ。
私はいま由夏と二人、学校内に散らばる落ち葉を掃いている。
相変わらずのオタク女子な由夏は、最近ハマっているらしいアニメの話を延々と話している。
「でね、でねっ!
そのヒロインの目の前に、急にチョー美少女が現れて!!」
「うん。」
「ヒロインが誰かな~って思って声かけたら、あの超イケメン君の許嫁ですっていうの!!」
「うん...
ん? いまなんて...」
「だ・か・ら、
その美少女が、あのイケメンの『イイナズケ』だって...」
「イ・イ・ナ・ズ・ケ...
許嫁?!」
そのワードに過剰反応した私は、メラメラと燃え上がる怒りでギュッとほうきを握りしめた。
「どうかしたの、日葵?」
「許嫁なんてものっ...
キィーーー!!!」
「ちょっ、日葵?!
落ち着いてっ!!」
怒り狂う私は、せっかくはいた落ち葉をバサバサとほうきで巻き散らかす。
「どうしちゃったの、日葵っ!
せっかくはいたのに...」