「...おまえ、なにしてんの?」
その声に私は、そっと目を開いた。
目の前には、ポケットに手をつっこんで立っている、制服を着た冬真君の姿が。
「い、た...」
「あたりめぇだろ。
なにおまえ、いないとでも思ってたのかよ?」
そういって、面白そうにニヤニヤする冬真君。
その瞬間、私の胸の重みがサッと消えていった。
「よかったー!!」
「フッ、やっぱり変なヤツ。
ほら、こんなところでつべこべ言ってねぇで、行くぞ学校。」
「うんっ!!」
そうして冬真君が私の手をとり...
かと思いきや、冬真君は一人でスタスタと歩いていってしまう。
「えぇーーー!!」
「なんだよ、急に。」
「いっ、いや~、なにも...」
(つい、心の声が...
って、なんで手を繋がないのさっ!!)
そんな感じで怒っている私に、少し離れた冬真君が立ち止まって振り返る。
「手。
繋ぎてぇんなら、お前から繋げよ。」
そういった冬真君は、イジワルそうに「ベー」と舌を出した。
「なっ?!」
それから結局、自分から手を繋いだ私は、「きっと冬真君の手の上で転がされているのだろう」と、思えざるをえなかった。