二人でベンチに座ってから、冬真君が話してくれた。
『ゲット・ビッガーの始まりの話』や、『冬真君の家族』のこと。
どの話も、私の胸がズキンと痛むものばかりだった。
「だから今、俺がここにいるってわけ。」
冬真君はそういってフッと笑ったが、その横顔はどこか寂しそうな気がした。
「いろいろ大変だったんだね...」
「それほどってわけでもねぇけど...
まぁ、そんなとこ。」
星が散らばる空を見上げながら、冬真君はそういった。
「あぁ~、もうこんな真っ暗じゃん。
俺、今日帰れねぇしなぁ~。」
冬真君はダルそうに伸びをしながら言って、背もたれにだら~んともたれかかると、そのまま目をつむった。
「えっ?
...帰れないって、なんで?」
私は、目をつぶって夜風を浴びる冬真君のほうに向き直って、聞く。
「学校にカバン忘れたんだよ。
レオの着替え、あんなか入ってんの。」
てか、そもそもはオマエのせいだかんな。」
「私の...せい?」
「あぁ、オマエのせい。」
(なんかしたっけ、私?)