大きな人のぬくもりを、自分の背中に感じた。
剛の両腕が、そのまま私を包み込む。
思いがけない剛の行動に、私は体が固まってしまった。
「...俺のほうが。
俺のほうが、アイツより日葵を大切にできる。」
耳元で囁く、少し震えた剛の声。
いつもゆう冗談のようには、聞こえなかった。
(...これって、告白?)
「...ご、う?」
「ずっと前から、日葵のことが好きだったんだ。
幼なじみだから、ギクシャクするんじゃないかってなかなか言えなかった。
日葵、好きだ。」
その気持ちを強く伝えるように、さらに私をギュッと抱きしめる剛。
「ちょ、ちょっと、剛っ。
こんなとこ誰かに見られたら...離してっ...」
「でもっ、さっきの日葵の気持ち聞いて。
俺、告白もできないままフラれたんだなって。」
(あっ...。
だからさっき、あんな顔...)
さっき剛が私を睨んだ時の、なんとも言えない表情が目に浮かんだ。
「...もう、なんにも求めたりしないから。
だから今は、...こうしていたい。」
その言葉に、さすがの私も抵抗する力を失った。