「...と、うま君?」



「おいっ、離せっ...」



(まだ、『好き』とはいえないけど...)



自分の思いが伝わるように、俺は真っ直ぐに日葵の眼を見つめた。




「...ちゃんと戻って来いよ、日葵。」



「う、うん...///」



「...いい加減、離せっ!」




そう叫んだアイツに胸を突き飛ばされて、俺はバランスを崩した。




「おっと、あぶねっ。」



「ちょっと、剛!

そんな乱暴な...」



「いいから日葵は、黙ってついて来い!!」




アイツはそういって、日葵を教室から連れ出していってしまった。




さっきの騒ぎはまるでなかったかのように、静まり返った教室に一人残った俺。




「...追いかけりゃ、よかったな。」




時計の針は、もう5時35分を指していた。




(あと、25分...

まだ、間に合うよな。)




俺はカバンを取るのも忘れ、教室を飛び出した。