――― ガラッ
「...おまえら、なにしてんの?」
唇が重なる一歩手前で、邪魔者が入った。
(いっそこのまま、してしまいたい...!)
グッとこらえた俺は、有り余る怒りとともに立ち上がった。
「チッ、やっぱりお前か。
ほら日葵、立てるか?」
そういって日葵に伸ばした俺の手を、駆け込んできたアイツが叩き落とした。
「日葵に触れんな!!」
「剛っ、ちょっと落ち着いてっ...」
(やっぱりコイツ、ムカつくなぁ...)
感情をあらわにするコイツを見下ろして、俺はフッと鼻で笑う。
「そりゃあ、慌てるよなぁー。
自分の好きな人が、自分の嫌いな男とキスしようとしてたんだからなぁ。」
「とっ、冬真君!」
「日葵、こんなヤツはどうでもいい。
話があるから、俺と来て。」
「ご、剛っ?!」
そういってアイツは、日葵の手を引く。
俺はとっさに、もう片方の日葵の手をとった。