「うわっ!」





 ドサッ





男の本能をくすぐられた俺は、たまらず日葵を押し倒した。




「ちょっ、冬真君?!」



「おまえ、鈍感ってのにもほどがあんだろ。」



「ど、鈍感?

私はただ、冬真君がさっきので...」



「おまえがさっきキスさせなくて、俺がキレてたと?

キレてはねぇけど、たしかにチョット気分悪かったかもな。」



「だっ、だから私は...」



「だからおまえは、俺にキスしたんだな。」



「うっ、うんっ!」



「だから俺は、そこが鈍感だっていってんだよ。」



(せっかく我慢してやったのに、人の気あおりやがって...)




恥ずかしくなってそっぽを向く日葵の顔を、そっと顎に手を添えて俺のほうに向かせる。




「と、冬真君...///」



「もう、キスさせろ。」



「っ.../////」




俺のその一言で、日葵は覚悟を決めたように、ギュッと目をつむった。

俺は日葵の顎を少しクイッとあげ、徐々に顔を寄せていく。



放課後の、二人きりの教室。


縮まっていく俺と日葵の、唇のキョリ。



俺はゆっくりと、瞼を伏せる。




俺の鼻の先が、日葵の鼻の先に触れたとき。