俺はカバンを背負って、椅子から立ち上がった。

俺にせかされ、日葵も慌てて物を片づけ始める。




 ――― ドサッ カラカラカラ...




「あぁっ!

うっわぁ~、もう私ったら...」




相変わらずおっちょこちょいの日葵は、ペンケースを床に落としてしまった。




「ったく、なにしてんだよ~。

ほんっと落ち着きねぇなぁー、おまえは。」



「ご、ごめん...」




急いで転がるものを拾う日葵を見て、俺もしゃがんでペンやらを拾う。




「ありがとう、冬真君...」



「いいよ、別に。

おまえがおっちょこちょいなんだから、しょーがねぇじゃん。」



「う、うん。」




最後のペンをとろうとした時、俺と日葵の手が触れた。




「あっ。」




日葵は反射行動のように、サッと手を引っ込めた。




(さっきの刺激が、まだ治まってねぇのか?

てか、まだ俺キスしてねぇし...)




日葵の敏感すぎる反応に「はぁ~」とため息をついた俺は、ペンに手を伸ばした。