(抱きしめたくなる...)



「とっ、冬真君!」




俺が見つめていたその顔を急に上げて、俺は逆にジッと見つめられた。

俺の気もしれないで無意識にそんなことをする日葵は、ときどき小悪魔に見えたりもする。




「なっ、なんだよ、急に。」



「あっ、えっと...

...あ、ありがとう。///」



「お、おう...///」




自分の顔が赤くなってるんじゃないかと思い、俺はわざとダルそうにして、机に顔を伏せる。




(コイツといると、調子くるうわ...///)




喜びとともに、日葵のこんな顔は誰にも見せたくないとも思ってしまう。




(俺って、こんなにワガママだっけ...?)




俺が日葵を振り回しているようで、実は俺が振り回されてるのかもしれない。



いつも冷静を保ってはいたが、保健室でのあの日から、俺の心臓は妙に敏感になった。


俺に向けられた日葵の言葉、表情、行動のすべてが、俺の胸を高鳴らせる。




(これが、『恋』ってやつなのか...)




どうやら俺は、『恋』ってヤツが苦手なのかもしれない。