今日のような休みの日には、レオになるまで部屋にこもっていることが多い。
日葵にバレないようにと、おじさんとおばさんは毎回いろいろとごまかしてくれている。
本当の事を知っている日葵も気をつかって、なるべく家にいないようにしたり、一日中部屋にこもっていたりもする。
俺は受話器を手にとった。
一ヶ月に一回だけかける、18桁の長い電話番号。
呼び出し音がしばらく鳴って、ガチャッと受話器をとる音がした。
「Hello?〈もしもし〉」
「Hello, this is Leonard.
I want to speak to my grandma.
〈もしもし、レオナルドだけど。
おばあちゃんと話したい。〉」
「Could you please hold?
〈少々お待ちいただけますか?〉」
「Yeah. 〈あぁ。〉」
電話を受け取ったメイドが、受話器を置いていなくなる。
日本に来てから日本語ばかり話していると、英語を話していることがなんだか新鮮に感じる。
そんなことを考えていると、受話器の向こうからおばあちゃんの声がした。
たった一人の孫の声を久々に聞いたおばあちゃんは、電話越しでも喜んでいるのが伝わってきた。
(元気...そうだな。)
いつものようにたわいない会話がしばらく続いた後、またいつものように俺は尋ねた。
「Is mum there?
〈お母さん、いる?〉」
「ちょっと待ってね。」といったおばあちゃんが、そっと受話器を置いた音がした。