そんな私の頭を、そっと冬真君の大きな手が、彼の胸へと引き寄せる。
「...そんな顔、ずるいぞ。」
私は小さくうなずいて、握られた手に気持ちを込めて、冬真君をギュッと抱きしめ返した。
(気持ち、伝わって...!)
「...ふっ。
お前、わかりやすすぎ。」
そういった冬真君の手にも、ギュッと力がこもった。
私を抱きしめている冬真君の腕は、さらに私を深く抱きしめる。
(『好きだ』って、いわれてるみたい...)
私が感じるように、冬真君も感じてくれたのだろうか。
言葉には出してないけれど、なんだか『秘密の告白』をされたような気がした。
二人だけの空間、二人だけの時間。
私の耳に伝わってくるのは、私と同じくらいの冬真君の心臓の音。
時間が止まればいいのにって、こういうことなのかな。
(恋って、大変...。
ドキドキで心臓、壊れちゃいそうになる。
...でも、すっごく幸せだな。)
――― 篠原日葵、17歳の夏。
大好きな人が、できました。