――― ガラッ
冬真君が保健室のドアを開けると、しんと静まり返った室内には誰の姿も見当たらなかった。
「と、冬真君。
もういいから、お願いっ!降ろして...。」
私がそういうと、冬真君はそっと保健室のベットに私を降ろしてくれた。
「な、なんか...ありがと。」
「あぁ。」
そういって冬真君も、私の横に腰かけた。
二人きりの空間に、変な緊張感が漂う。
「...な、なんか、あれだね。
先生とか、いないね。」
「あぁ、先生。
なんか、二年の修学旅行かなんかでいないんだとよ。」
「そう、なんだ...」
「...わかってて、来たんだ。」
「えっ?」
そういって冬真君を見ると、私のほうに体を向けた冬真君は、まっすぐとした眼差しで私を見つめる。
「先生がいないって、わかってて来たんだよ。」
「っ。///」
冬真君にとってはどうでもない言葉でも、今の私にはそんな冬真君の言葉のすべてが、なにか意味があるかのように、胸を高鳴らせるのだ。
「ほら、今なら言えんだろ。
どうしたんだよ、お前。」