(ちょっと、誰か~!!)
教室の前のドアを過ぎ去ろうとする私が、そう心の中でSOSを叫んだその時、後ろのドアが小さく開いた。
「日葵、大丈夫?
私も、ついてこっか?」
ひょこっと顔だけ出した由夏は、心配そうに私に呼びかけた。
(由夏~!!
なんて素晴らしい親友なのぉー!!)
「うん!ありがt...」
「いや、俺一人で大丈夫だよ。
ありがとう、飯田さん。」
由夏に大感激する私の言葉を、大魔王・トウマ君が振り返り、天使のマスクでさえぎる。
「でも...
あっ、そうだよね~!
冬真君さえいれば、日葵は大丈夫だもんネェ~。」
大魔王の視線からなにかを察した天使・ユカは、たちまち小悪魔・ユカに変身する。
(なっ、なぬ~!!
なぜに今、小悪魔出現?!)
「ちっ、ちがうよ由夏!
そうじゃな...」
そういって由夏のもとへ向かおうとする私の足を、冬真君がすかさずヒョイとひっかけた。
「うわっ!」
前からズドーンと転びそうになる私の体を、またもやすかさずキャッチする冬真君。
「日葵ちゃん、大丈夫?!」
なにも知らないかのように、心配そうに私を覗き込む冬真君。
そんな私たちの様子を、なにも知らないオタク女子・由夏は目をハートにして見守る。