(なにされるのかな、私...)
冬真君の言葉が頭に残って、私は夜の11時になっても、宿題を終わらせることができなかった。
時計の針が、カチカチカチと部屋中に鳴り響く。
「はぁ~、もう! 私ったら!!
宿題、宿題!!」
「よしっ!」と気合を入れた私が、ノートにペンをつけようとした瞬間。
――― コン、コン、コン。
私の部屋をノックする音がした。
「お母さん、また心配して...」
私は椅子から立ち上がり、ドアを開けにいく。
「お母さん、心配しないで...
あれ? ...レオ、君??」
私の部屋の前に立っていたのは、お母さんではなく、レオ君だった。
目をゴシゴシこすりながら、タオルを抱いているレオ君。
「どうしたの、レオ君?
眠れない?」
レオ君が冬真君だと分かっていても、レオ君の可愛さを見ると、どうしても甘やかしてしまう。
「日葵...
僕、日葵のこと考えてたら、眠れなくって...」
「私の...こと?」
そんな私の質問に、コクンと頷いたレオ君は、いきなりシクシクと泣きだした。
「ど、どうしたの?レオ君?!」
「だってっ、日葵がっ、僕から逃げるからっ...」
「そ、そんな!」
顔を上げたレオ君は、潤んだ瞳で私を見つめる。
「日葵...
もう、僕の事、キライ?」
(そんな顔されたら...
もうっ...限界!!)