――― 放課後。
「ごめん、由夏!
私、今日急ぎだから、先帰るね!!」
「うん!じゃあね!!
あっ、新しい弟クンにもヨロシクね!」
「うん、ありがと。
あと、剛にも謝っといて! バイバイ!!」
そういって、私は駆け足で教室を出た。
いつもより、ずいぶん早く家についた。
(あぁ~、早くあの子に会いたい!!)
胸を躍らせながら家のドアを開ける。
「ただいまー!!」
「あら、おかえりなさい。
ずいぶん早いわね~。」
キッチンから、エプロン姿のお母さんが出てくる。
「お父さん、まだですか?」
「まさか日葵、あなたそれでこんなに急いで...
ウフフ、まだよ。」
「はぁ~...」
「でも、さっき電話でそろそろ着くっていってたわ。」
「本当ですか!?じゃあ日葵、着替えてきます!!」
そういって、私は階段を駆け上がる。
「後で、お母さんのお手伝い、お願いね~。」
「はーい!」
(やっと、会える。私の弟くん!!)
さっさと制服を脱ぎながら、私の頭の中は、新しく増える家族の事でいっぱいになっていた。