そして翌日。
早く目覚めてしまった白魔はまだ寝ている小鳥をベッドに残して氷河がいる客間へ赴いた。
「あれ?まだいたの?」
「ああ。少し前に目覚めたばかりだ」
ソファーには昨日よりもまともな会話ができそうな氷河がいた。
姿勢正しくきちんと座り、緩めていた服のボタンもぴっちり締めている。
あの醜態はなんだったのかと思わせる変わりようだ。
対して今の白魔は寝起きということもあり、かなりだらし無い格好をしている。
シャツのボタンは全開で、覗く肌からは色気がだだ漏れだ。
「もう酔いは完全に醒めた感じ?」
「頭痛はするがな」
「そっか。なんだ、つまらないな。まだベロンベロンならからかってあげようと思ったのに」
「お前な…」
呆れた眼差しを向けてくる氷河に嫌みっぽい笑みを送りつつ、白魔は向かい側のソファーに腰掛けた。
「じゃあ、さっさと戻れば?君のお仲間が心配して探してるんじゃない?」
「いや、ドイツに来た学生は俺一人だ。後は軍のお偉い方達ばかりだからな。俺のことなどそれ程気にもしていないだろう」
「ふーん…。なら尚更僕のプリマドンナに感謝しなよ?君を助けてあげようなんて思う寛大な通りすがり、この街に彼女以外いなかったんだからさ」
「櫻井小鳥、か…」