「少しは楽ですか?」
小鳥の問い掛けに力無く頷き、氷河は額に手をやる。
「ああ…。道に転がっていた時よりは…な」
「君ってお酒弱いの?」
「いや…弱くはないが、強くもない。お前は…?いける口か?」
白魔を見上げて親しげに話し掛ける氷河はまだかなり酔っているのだろう。
つっけんどんな態度や上から目線な様子は見られない。
「僕は下戸(げこ)だよ」
「そうか。月那は凄いぞ…。あいつはザル…いや、ワクだ」
「ザル?ワク…?」
首を傾げる小鳥を白魔が自然な動作で抱き寄せる。
「酒豪ってことだよ。どこまで飲んでも酔わないタイプさ」
「逆に、ゲコは酒が飲めない奴のことだ」
氷河の説明を聞いて小鳥は白魔を見上げた。
「じゃあ白魔さんは、お酒ダメってことですか?」
「そうなるね。けど君と君の血と音楽は美酒に等しいから、酒が入らなくても酔える自信あるよ」
得意げに言われ、返す言葉を探しながら赤面する小鳥。
そんな彼女を氷河は横向きになってボーッと眺めた。
「ああ…うらやましい…。俺も月那といちゃつきた…うっ、吐き気が…」
「ここで吐かないでよ。僕達に君の汚物を見せるつもり?最悪なんだけど」
言いたいことをハッキリ言いつつも、白魔はその後ランベルトに頼んでバケツを持って来させたのだった。