†††
「私は……フェオさんがいいです」
この言葉にいち早く反応したのはフェオドールではなくオーレリアンだった。
「はあ!?なんで兄様がわざわざお前の面倒なんか見なきゃならないんだよ!」
「オーレリアン」
落ち着いたフェオドールの声。
皆が彼に注目する。
「俺はべつに構わないと…さっき言ったが」
「でも…!」
まだ文句があるらしい。
そんな末っ子に父親が苦笑した。
「オーレリアン、本人が構わないと言っているんだ。なら問題ないじゃないか」
「っ…こんなのが兄様のフィアンセになるとか……僕は認めないから」
吐き出すように言うと、オーレリアンは立ち上がり居間から出て行った。
乱暴に閉められた扉の音がうるさく響く。
(私、間違えちゃったのかな…)
フェオドールを選んではいけなかったのだろうか。
優しそうな彼ならしっかり守ってくれると思ったのだが、結果オーレリアンを不機嫌にさせてしまった。
小鳥がハァと憂鬱な溜息をついていると、フェオドールが微笑んだ。
「よろしく、マドモアゼル」
「あ、はい!よろしくお願いします」
こうしてフェオドールが小鳥のボディーガード兼フィアンセとなったのだった。