「はいっわかりました!」
社長さんがるんるんとスキップして控え室から出て行く。
…なんだろう?たしかにいつもの社長さんと違う気が。
そして準備を終え、言われたA1スタジオへ入るも…想像なんてしたことがなかったことが起きた。
「ええっ!!!」
「っお前…!!」
目の前にはセットされた衣装を着て少しメイクをしたのかいつもと雰囲気が違う…圭がいる。
「あ〜っお姉ちゃん!待ってたよ!」
「な、な…なんでここに…!?えっ学校じゃないの!?」
「ふふっ僕もモデルデビュー!お姉ちゃんの近くにいれる方法はこれしかないかなーって考えてさっ。」
「お前…なに考えてんの?」
「えーなにがー?そうだ、お姉ちゃん。昨日は怒っちゃってごめんね?」
「う、ううん!謝らせちゃってわたしもごめんね?圭はいつもわたしのこと考えてくれてるのに…。」
「よしっ仲直り〜!ねぇねぇお姉ちゃん、僕、初めてメイクしたんだけど…どう〜?」
ぎゅっと抱きついてきて、より近くで圭を見ると、メイクによって可愛い顔がさらに整ったよう。衣装も普段は着ないジャンルのもの。
圭が仲直りしてくれて嬉しいのか…普段とは違う圭に驚いているのかいつもとは違う感覚。
「や〜圭くんもうちのモデルになってくれたし!会社のこれからがワクワクだよ〜。」
なるほど…圭にいつもモデルになったらって言ってたもんね。だから社長さんは機嫌がよかったんだ。
「あはは、社長さんが僕を贔屓にしてくれてよかった〜!急な話だったのにありがとうございました。」
「いやいや〜圭くんも来てくれたから色んなとこから…「あぁ、契約通りお姉ちゃんと被る仕事以外はできないので……よろしくお願いしますね?」
「あは、あははは。うんうん!分かってるよ、うん…そうだよね。…帝、そういうことだから圭くんも合わせてマネージャー頼むよ。」
「……。」
不機嫌な帝くんと対称に、圭はすごくニコニコ。
「…お姉ちゃん。びっくりさせてごめんね?最近お姉ちゃんが僕からどんどん離れていくのが寂しくて…こうしたらずっとそばに居られるかなって思ったから…。」
「ううん。わたしも圭が近くにいないとすごく寂しいなって思ってたよ、2人でモデルできるなんて嬉しいな!」
「うぅ…可愛すぎる。だいすきー!」
「レイカさん、ケイさん撮影始めまーす!お願いします!」
スタッフの方から声がかかり撮影が始まった。
…圭はカメラの前に立つの初めてなはずなんだけど…。
ポージングはもちろん、可愛い表情から、キリッとしまった表情まで…わたしよりうまく出来てるよ。
「圭、ずるい……。」
ぼそっと声を漏らす。
「ええっなんで?」
「だってわたしより全然モデルらしいんだもん。」
「ええっやばっ!むくれたお姉ちゃん可愛すぎるんだけどっ!!」
「2人ともいいね〜!撮りたい雰囲気とバッチリだよー!」
「ふふふっ。だってお姉ちゃん!」
なんだか撮影も圭のペース。
「あーカメラマンさんすみません、ちょっと一回休憩させていいっすか。」
帝くんがそうカメラマンさんに言った。
「そうだ…全然休憩挟んでなかったね!ごめんごめん!1回休もうか。」
「お前、過剰に玲蘭にくっつきすぎなんだよ。」
カメラマンさんの声がかかった瞬間に、帝くんがわたしと圭の間に割って入る。
「うるさー。あんたはカメラマンでもなんでもないんだから口出ししないでよ。」
「お前も人のこと言えるかよ。新人の中の新人だろ。」
「ちっちょっ…ちょっと2人とも仲良くしようってば!」
「「だから、なんでこいつと?」」
「…ふふ。やっぱり、なんだかんだで息ぴったりで相性いいよね!」
「ありえない冗談言わないでよ〜。空気読めない邪魔なやつ、僕は1番苦手〜。」
「ガキがベラベラしゃべってんじゃねよ。」
何度も間に入って仲をとり持とうとしてもこんな感になってしまう。
圭も帝くんも2人とも優しいのに…なんでお互い同士だと険悪になるかなぁ…。