「岡野監督、俺たちはどこに行けばいいでしょうか？」
「あ。こっちこっち。」
「頑張ろうな、玲蘭。」
作り笑顔満載でわたしにエールを送る。
「いじわる……。」
「問題ないって。冗談じゃなくて、まじで玲蘭ならうまくこなせる。また次の仕事につながると思ってやるしかねぇよ。」
「う、うん…。」
わたしの不安な様子が心配なのか、帝くんが優しく励ましてくれる。
「…じゃあさ、お前ら姉弟みたいに今日の撮影頑張ったらご褒美とかどう？」
「えっ？」
「内容はまだ秘密だけど。どう？やれそうな気になった？」
「うんっ！頑張れそうだよ！」
「ははっ、単純。」
その後、台本を読む時間をもらって、わたしのセリフは少ないものの、出演シーンは割とあった。
ーーーそして、いよいよ本番。
周りの女優さんや俳優さん、スタッフさんに挨拶をする。
「は、はっはじめまして、レイカと申します。演技は初めてでして…ご迷惑かけないように尽力します。よ、よろしくお願いします。」
「「「あはは。可愛すぎる〜そんなに緊張しないでいいんだよ。」」」
ドキドキしすぎて周りの人の優しい言葉を聞く余裕はなかった。
「よし。それじゃさっそく始めようか。」
監督さんの声がかかり、撮影が始まった。
