「挨拶が遅くなりました。はじめまして、レイカのマネージャーやらさてもらってます。松野帝と申します…マネージャーと言ってもつい最近の話しですのでご迷惑かけるかもしれないですがよろしくお願いします。」
「こちらこそどうぞよろしくね。帝くんは、レイカちゃんの事務所の社長の息子さんなんだってね。売れっ子モデルのマネージャーなんて大変だろうけど、若いのにしっかりしてるから問題なさそうだね。レイカちゃん、今回は急なオファーになっちゃったけどレイカちゃんの演技が見たくってね。つい声をかけさせてもらっちゃったよ。」
「そ、その話ですがわたしにはむ…「ははは。こちら側も初めてのドラマ出演というチャンスをいただけて、それも岡野監督のドラマだなんて、本当に勿体ないお話しです。ありがとうございます。」
口を塞がれ、帝くんが流暢に監督さんと挨拶をしている。
そして…なんか、帝くんてめちゃくちゃいい人みたいな感じになってない?
普段と全然違うじゃん!
(…玲蘭、気持ちはわかるけどいまさら現場に来て帰るってことはできないし。)
ぼそっとつぶやいた。
(でも…だって……。)
(できるって絶対。スイッチ入れられるじゃん。)
(それとこれとは…。)
(ふーん。思ったより度胸ないんだな。)
この帝くんの一言でわたしの負けず嫌いがでてしまった。
(なにその言い方…もう!やらせてもらうよ!)
にやっと帝くんが笑った。
あれ……まさか罠に引っかかった?