アンコンが終わり、私達吹奏楽部の三年生は引退した。
木管アンサンブルの結果はおしくも銀賞。
あと一点で金賞という惜しい結果だった。
とても悔しかったけど後悔はしてない。
それが私達の実力だったから。
これまでの成果を出しきったから。
「理菜先輩ー!!!!!」
「美琴ちゃん!」
「い…今までっ…ありがとうございましたぁぁ!」
涙を流しながら私に深くお辞儀する美琴ちゃん。美琴ちゃんはトランペットパートの2年生で私が1番仲がいい後輩。いつも明るくて面白くてテンション高くて。一緒にいるとすごく楽しい。
「美琴ちゃん、泣きすぎ〜!まだ卒業しないよぉ〜??そんなに今泣いてたら卒業式の時どーするの!」
「だってぇぇぇ…理菜先輩ともっともっと部活やりたかったんですぅ…。」
もう。かわいいなぁ!
私は美琴ちゃんをギュッと抱きしめると
「今までありがとうね。」
と言った。すると美琴ちゃんは頬をぷっくらと膨らませ
「今までありがとうじゃないです!これからもよろしくお願いしますですっ!!!」
と言った。
「いやいや、さっき美琴ちゃんが言ったんだよ?い…今までっ…ありがとうございましたぁぁ!って!」
声を真似しながら言うと
「全然似てないですよぉ!」
と美琴ちゃんは言った。
それを聞いた周りにいた部員が次々と笑い出す。
最後までこんなバカやってたけど。
私は堂々と引退できたと思う。
「ついに引退したね…。」
「放課後はもう部室に行かなくていいんだ。」
「今日からは勉強だねー。」
「やだぁ。」